診断実践協会

プロ人材向け

診断実践協会は、事業(会社)と士業(専門家)をよりスピーディで丁寧な縁結びに導くことを目的とするコミュニティー運営機構です。

活動記録 TOPICS

【経営診断報告会アフターフォロー】財務・事業戦略ヒアリングを実施しました

訪問概要

診断実践協会では、会員診断士が企業診断報告会終了後に診断企業を訪問し、その後の経営状況のヒアリングや今後の成長戦略についての意見交換を行っています。
今回は、農業関連事業を中心に展開する企業にて、財務・事業戦略・IT活用など多面的な課題について議論を重ねました。


財務課題と中期経営計画の再構築

主力事業であるお米の販売は、市場相場の影響を強く受けるため、収益計画や昇給計画の立案が難しい状況です。また、政策的な要因(備蓄米放出など)により売上が激変する年もあり、中長期的な経営計画の立てづらさが課題として挙げられました。

診断士チームからは、複数のシナリオを想定したコンティンジェンシープラン(ABCプラン)の採用を提案。過去10〜20年の価格推移をもとに、変動リスクに強い財務戦略の構築を支援していきます。

さらに、原価計算やキャッシュフロー分析の精緻化を通じ、「数字に基づく経営判断」の実現を目指すことを確認しました。


機械・設備投資の見直しと人材育成

農業経営においては、コンバインなど高額な機械の維持費が大きな負担となっています。
今回の打ち合わせでは、「短期サイクルでの下取り更新」や中古市場・海外輸出の活用による資産効率化を検討しました。

また、現場での整備スキル不足を補うために、メーカー経験者を非常勤講師として招聘し、現場教育の内製化を進める案も提示されました。


店舗事業(米粉パン)の成長戦略

▲ 健康志向の顧客層をターゲットにした店舗展開を推進。

店舗事業では、お米販売と異なり自社で価格設定が可能である点が強みです。
現在は、健康志向の高い富裕層をメインターゲットとし、売上目標を設定して運営しています。

今後は、百貨店でのポップアップ出店や直売所の強化を通じて知名度向上とブランド確立を図り、
成長戦略(理想追求)競争戦略(競合分析)の両軸で事業計画を立案していく方針です。


IT・システム面の課題と改善方向

現場で使用している農業管理システムでは、

  • 圃場ごとの原価計算ができない
  • データの出力が難しく、手入力作業が多い
    といった課題が報告されました。

これらの非効率を解消するため、Excelを中心とした業務自動化や、データ連携の改善提案を診断実践協会でも支援していきます。
また、勤怠管理・給与計算に関しても、複雑な時給体系への対応を含めてシステム化の見直しを検討します。


事業承継と株価対策

利益増加に伴う株価上昇により、相続税や贈与税の負担リスクが顕在化しています。
早期の株価対策とともに、第三者専門家を交えた先代オーナーへの説明機会の設定が提案されました。

また、退職金積立のスキームを併用し、円滑な事業承継の仕組みを整えることが今後の重点課題です。


▲ 経営課題の共有と今後の戦略構築について意見交換を行いました。


経営者の声

「計画を立てたいと思っても、誰に相談すればよいかわからなかった。
専門家の視点で整理してもらい、経営を“見える化”できたのが大きい。」

経営者からはこのような声をいただき、計画的な経営管理の重要性を再認識されたとのことです。
今後は以下の3点を中心に、支援を継続していきます。

  1. 事業計画の早期策定と実行支援
  2. システム・データ連携の効率化
  3. 株価対策と事業承継支援

編集後記

今回のヒアリングでは、農業という伝統産業の中にも、財務戦略・デジタル化・ブランド経営といった現代的課題が交錯していることが明らかになりました。
診断実践協会では、現場と経営を「創しながら(ともに創る)」という理念のもと、企業と伴走し続けます。