診断実践協会

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数字では見抜けない“資金ショート”を防ぐ――中小企業が今こそ向き合うキャッシュフロー管理

なぜキャッシュフロー管理が必要か

利益が黒字でも、手元の資金が不足し支払いが滞る――。多くの中小企業にとって、こうした“資金ショート”は突然起こるものではなく、日々のキャッシュフロー管理の積み重ねによって防ぐことができます。特に、売上や利益と「現金の動き」はまったく別物であり、この違いを理解しないまま経営を続けることは大きなリスクにつながります。

そのための有効な手段がキャッシュフロー計算書です。企業の現金の流れを「営業」「投資」「財務」の3つに分類して可視化することで、黒字倒産につながる構造的な問題をいち早く発見できます。

営業キャッシュフローが安定してプラスであれば、本業で安定的に現金を生む力がある証拠です。しかし、売掛金の増加や在庫過多によって回収が遅れれば、利益が出ていても資金ショートに直結します。一方、投資キャッシュフローがマイナスであっても、将来の成長を見据えた設備投資なら健全な戦略といえます。重要なのは、「営業キャッシュフローで投資や借入返済をまかなえているか」という全体バランスです。

キャッシュフロー計算書の作成は複雑に思われがちですが、実際には貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)があれば作成できます。なかでも中小企業に適しているのは間接法で、税引前利益を起点に、減価償却費などの“現金を伴わない費用”を加算し、売掛金・買掛金の増減を反映していく方法です。Excelや会計ソフトを使えば負担は大幅に軽減され、過去数年分を並べて比較することで、経営の変化やリスクの兆しをより明確に把握できます。

さらに、キャッシュフロー計算書は金融機関との交渉や補助金申請の場でも信頼性を高める資料として活用できます。資金繰り表と併用することで、今後数カ月の資金状況を精密にシミュレーションできるため、経営の「安心材料」としての価値は非常に高いと言えます。

とはいえ、自社だけで作成や分析を行うことに不安を感じる企業も少なくありません。その場合は、専門家のチェックを受けることで、分析の精度が格段に高まります。キャッシュフローの構造を正しく理解し、継続的に把握する仕組みを整えることこそが、突発的な資金ショートを防ぎ、持続的な成長を支える最も確実な経営戦略です。


自社の資金の流れを見える化し、安定した経営基盤を築きたい方は、ぜひ診断実践協会までお気軽にお問い合わせください。