活動記録 TOPICS
●〇 世界の金融機関で広がる「AI標準装備」化 〇●
世界の銀行・証券・保険会社など数千社を対象にしたグローバル調査では、 多くの金融機関がすでにAI、とくに生成AIを業務に組み込んでいることが明らかになっています。 導入済みだけでなく、試験導入や準備中の企業も含めると、 今後AIを活用する予定の金融機関は全体の大半に達するとされています。
活用領域はマーケティング、顧客対応、IT、バックオフィスなど多岐にわたります。 多くの銀行が、生成AIを「収益向上」と「コスト削減」の両面から 重要なテーマとして位置づけているのが現状です。
●〇 リスク管理・不正検知で存在感を高めるAI 〇●
AI活用がもっとも進んでいるのは、リスク管理やコンプライアンスの分野です。 膨大な取引データをリアルタイムで解析し、マネーロンダリングや不正送金の兆候を検知する仕組みが、 世界中の金融機関で実用段階に入っています。
海外では、先進的な金融機関がAIを使った高度なモニタリングやリスク分析に取り組んでおり、 従来よりも早く正確に異常を見つけることで、 業務負荷の軽減とセキュリティ強化を同時に実現し始めています。
●〇 顧客体験の向上と日本企業への示唆 〇●
生成AIはチャットボットや自動応答だけでなく、 顧客一人ひとりに合わせた資産運用提案やローン審査など、 「パーソナライズされた金融サービス」にも使われ始めています。 24時間いつでも相談できる新しい顧客体験の提供に向けた動きが加速しています。
こうした動きは、日本の企業・金融機関にとっても無関係ではありません。 自社でAI活用を検討する際には、次のポイントが重要になります。
- 小さく始めて効果を検証すること: 問い合わせ対応や社内FAQなど、リスクの低い業務から試行する。
- セキュリティとガバナンスを同時に設計すること: 個人情報や機密データの取り扱いルールを明確にする。
- 人とAIの役割分担を決めること: 最終判断は人が行い、AIは「判断材料を素早く揃えるパートナー」として位置づける。
AIは、一気にすべてを置き換える魔法の道具ではなく、 業務とサービスの質を継続的に底上げする「新しいインフラ」に近い存在になりつつあります。 自社の課題と照らし合わせながら、どこから取り組むべきかを検討することが、 これからの金融・ビジネスにおける重要なテーマと言えるでしょう。